「迷子の警察音楽隊」



シネカノン有楽町2丁目

音楽が大好きなこと。

人が恋しいこと。

家族が大切なこと。

言葉が違っても、神様が違っても、国が仲良くなくても、それはおなじ。

エジプトから来た警察音楽隊が、イスラエルの寂しい町に届けたものは、そんな当たり前のことが大事に思える素敵な夜でした。

監督はこれが長編デビューとなったイスラエルの新鋭エラン・コリリン。

主人公は文化交流のためにイスラエルに招かれてやってきたエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊。なぜか空港に出迎えはなく、自力で目的地にたどりつこうとするうちに、彼らは一文字間違えてホテルすらない辺境の町に迷い込んでしまう。そこで食堂の美しい女主人ディナに助けられ、地元民の家で一泊させてもらうことに。でも、相手は言葉も宗教も違い、しかも彼らアラブ人と長年対立してきたユダヤ民族。空気は気まずく、話はまったくかみあわない。しかし、一人が「サマー・タイム」を口ずさんだ時、その場の空気が変わってゆく。国を越えて愛されてきた音楽の数々、それが彼らの心を解きほぐし…愛や友情、家族について語り合う、忘れられない一夜がはじまる。

警察音楽隊というから、ディナが想像したように私もてっきりマーチングバンドのようなものだと思っていたたら、ぜんぜん違った。歌があるし楽器が違うし、まず音階が違う。四半音というのだそう。彼らは無事に目的地で、イスラエルにできたアラブ文化センターで演奏し、あたたかい拍手に報いられる。

この映画を背景を知らないで観るのとその時代背景を知った上で観賞するのとでは感じ方は異なる。しかし、これだけは知っておきたい。監督は1978年生まれのイスラエル人であるということ。

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