「君のためなら千回でも」THE KITE RUNNER



アフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニ原作ベストセラー『君のためなら千回でも』(旧題『カイト・ランナー』)をマーク・フォースター監督で映画化。

 ソ連侵攻前のまだ平和だったアフガニスタン。裕福な家庭の少年アミールと、彼の家に仕える召使いの息子ハッサンは親友同士だった。ところが12歳の冬の日、恒例のケンカ凧大会の最中にある事件が起きる。以来、アミールは少年ゆえの潔癖さと後ろめたさからハッサンを遠ざけてしまう。そしてソ連軍が侵攻、身の危険を察知した父親はアミールを連れアフガニスタンを脱出、アメリカへ亡命。20年後、平穏に暮らすアミールのもとに、アフガニスタンの恩人から1本の電話が入る。“まだやり直す道はある”との言葉に、アミールはタリバン独裁政権下の故郷へと向かう…。

罪と贖罪、友情と家族の絆、より良い人間になりたいという願いと人生の痛みを引き受ける勇気――それらは、どんな国の宗教・文化・イデオロギーにあっても人間なら誰しもが持つ感情と経験。私たちが、悲しみにあっても人間性と精神を保ち希望を見出そうとする強さも持つことが、悲劇の連鎖を終わらせられるだと思う。

ハッサンとアミール、ソーラブを演じた少年たち、他の俳優たちも本当にすばらしい。役に対する見事な集中力と感性で映画を痛みと血の通ったものに仕上げている。彼らの演技を見るだけでも価値がある。アミールの父親(ホユマーン・エルシャディ)がアフガニスタン脱出の途中に見せる勇気ある言動は、あまりにリアルで私の胸に突き刺さった。痛くて涙が流れるほどだった。生より死の可能性が限りなく高い状況で勇気を見せる気高さは、想像を絶する。
原作も読んでみようと思う。

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